オリジナル

天使に近づきたかった少年

6.雷神降雷

「・・・雷神・・・」

「そうですよ、私は雷神。貴方の求めた神々の一人なんですから。」

ブレイクが言う。

俺が求めた・・・?

俺は・・・

あんな破壊神のような残忍な者を望んだと・・・?

「ちょっと待って。」

「・・・どうしたんです?」

「俺は・・・俺があんな最低な神を望むわけない・・・」

俺は小さく、しかしはっきりという。

「・・・ですが、破壊神は貴方を望んでいる。現に、貴方の存在に気付いてすぐ、貴方のもとに参上した。」

雷神の言葉が頭の中で響いた。

何だ?

この威圧感は。

破壊神とは違う、しかし大きな恐怖が確かにそこにある。

「俺を望んだ・・・?」

「はい、だから彼はわざわざあの村に立ち寄ったのです。大きな危険も省みず。」

大きな危険・・・

それはきっとウォールのことだ。

しかし、彼からはそれほど恐怖を感じなかった。

それは、ただ単に、彼が善人だったからなのか・・・

それとも、もっと別の理由があるのだろうか?

とにかく、今、俺の目の前には、自らを神と名乗る者がいる。

そして、それはセナと同じように、恐怖の根源となり得る存在だ。

だが、不思議なのは、セナの時よりも、俺が冷静でいられていることだ。

以前は頭の中をぐしゃぐしゃにされているように集中できなかった。

今考えると、あれは偶然ではなく、あの男の持つ力に何か関係していたのではないだろうか?

否・・・さすがに考えすぎだろう・・・

「でも、どうして破壊神は俺を・・・」

「彼はね、自分がどういう生き方をしているか、知っているんです・・・」

「え・・・?」

「此処にいる者たちも、貴方も、そして、他の各地にいる神々も、彼の事を勘違いしている・・・もしかしたら、私自身も、間違っているかも知れない。とにかく、彼はただの破壊だけを好む愚人ではない・・・それだけは、知っておいて下さい。」

男はそこまで言うと、くるりと方向を変える。

「・・・これは忠告です、どうぞお気をつけを・・・」

「な、ちょっ・・・・」

「・・・申し訳ありませんが、私はこれから行く所がありまして、あまり時間がないのですが・・・」

「・・・・。」

そういわれると、俺は引き止めるのを止めてしまった。

自分の意思ではない、『彼が言ったから』止めたのだ。

理由はそれだけだ。

彼に言われると、そうしなければならない。

まるで、それが『定義』のように。

俺はずっと、ブレイクが立ち去るところを見詰めていた。

この世に実在する神という名の恐怖を

心にしっかりと留めながら。

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天使に近づきたかった少年

5.本物の神は・・・?

死神・・・?

それは・・・彼が新たな『神』であるということなのか・・・?

「・・・死神?」

「そう・・・でも、君が思っているものと同じ存在かどうかは保証できないよ・・・?」

レイはそういってまた窓に目を戻す。

先ほどから、気になっていた。

窓の外に何があるんだ・・・?

それに、もし彼が神の一人であるなら、

いつ変わる・・・?

セントのように、もう一つの人格を持っているのか?

「僕は、そういった神ではないよ・・・。」

まただ。

またレイは俺の心を読んだ。

「・・・それが、お前(神)の持つ力か・・・?」

俺が言うと、レイは何故かフッと笑う。

「・・・そう思うかい?だが・・・間違ってはいないな・・・力というのは。」

「何だと・・・?」

「・・・ルイ、君は持って生まれた潜在能力と供に、特殊能力というものがあるのを信じるか・・・?」

特殊能力・・・?

何の話だ?

「・・・そんなもの・・・あるわけが・・・」

「本当にそう思っている・・・?君は心の中で、その存在を確かに感じているんじゃないのか・・・?」

俺は言葉を失う。

どうして・・・

どうしてそこまでわかるんだ?!

本当に、俺の心が読めるんじゃ・・・

「・・・そう。君が思っている事は正しいんだよ。それなのに、君はそれすら否定しようというのかい・・・?」

「・・・・!」

やはり・・・

これは信じるしかないようだ。

彼は、本当に人の心を読める。

全員のものかはわからないが、とにかく俺の心は完璧に読めているのだ。

そして、先ほど彼が言っていた特殊能力(SA)。

きっと彼はそれを持っている。

「・・・よくできました。流石だな。」

レイがパンッと手を打つ。

「・・・此処まで早く状況を飲み込めたのは君が初めてだよ・・。」

「・・・ってことは、やっぱり・・?」

「否・・・紅も同じくらいでわかったか・・・?」

俺の言葉が、レイには聞こえていないらしい・・・

「あのー・・・」

「・・・?そういえば、リアーナは遅いが・・・何かあったのか?」

「・・・すみませーん。」

「ルイ、すまないが、僕は用事があるのでこの辺で失礼するよ・・・?」

レイは最後まで人の話を無視して立ち上がると、さっさと部屋を出て行ってしまった。

「・・・何だったんだよ、もう・・・」

俺はため息を吐くと、部屋を出ようとドアに振り返る。

と、驚いて叫んでしまった。

いつの間にか、ドアの前には人が立っていた。

銀髪をセンター分けにし、後ろで束ねたかっこうの男である。

彼は一見するとただの顔立ちの青年だ。

しかし、何かがおかしい。

しばらくして気付いた。

左目だ。

違和感はそこにあった。

髪の毛の隠れてか、見えない瞳。

だが、もっと深い理由がある気がするのは何故だろうか・・・

「あ・・・」

「始めまして・・・私の事は・・・ご存知ありませんね・・・?」

男がペコリと頭を下げる。

勿論、こんな男は知らない。

「・・・はい。」

「・・でも、本当は逢っているんだすよ・・・?もっともっと、はるか昔に・・・」

ああ、またこの類の人か。

こういう人の話は真面目に聞かない方がいい。

以前、俺がまだおばさんの家にいたころに、やってきた人間がいた。

その人も俺にずっと昔に出会ったと変な事を言ってきたのだ。

勿論俺は信じなかった。

その男の名は・・・・

あれ?

何だろう、何故か出てこない。

今までずっと、何があっても忘れなかった名だったのに。

「・・・私の名は。」

男が言った。

「私の名は、ブレイク。貴方が知る、神々の一人・・・」

「な・・に・・・?」

「レイ・・彼は本物の神ではないのです。ですが、私はそう・・・私は雷神として、この世界に降り立った神の一人です。」

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天使に近づきたかった少年

4.探検

この屋敷は本当に広い

思っていたものよりもはるかに。

だが、何故か帰ろうと思えばすぐに出ることもできる気がする

・・・変わったところだなぁ。

ほとんどのドアは閉まっていて、

何となく開けづらいのでまだ一つも開けていない。

窓から外の景色を眺めた。

まだ春だというのに、この屋敷の周りの花や木は

皆枯れ、何だか哀しい。

と、開いているドアを一つ見つけた。

このまま、まっすぐに行ったところだ。

・・・!!

そっと中をのぞくと・・・驚いた。

この部屋は殺風景で、窓が一つとその隣に机が一つあるだけだった。

しかし、そこには人がいた。

たった一つの席に座って、窓から外を眺めているのは

・・・恐らく少年だ。

美しいくらいの、美青年である。

黒く長い髪を揺らして、物思いにふけっているのか

俺の存在には全く気付いていないようだ。

そう思ってそっと部屋から離れようとした。

その時・・・

「・・・君は誰だい・・・?」

声がした。

青年の声だ。

まさかと思ってもう一度青年を見る。

彼はまだ窓を眺めていた。

気のせいか・・・?

「あの・・・」

「僕は君は誰かと尋ねた・・・。」

「・・・あっ、えっとルイです。ルイ・グレイル・・・」

気付いた時には名乗っていた。

自分でも何故かわからない。

「・・・そうか。君がルイか・・・」

青年が、フッとこちらに振り返る。

長くて黒い睫、白い肌。

本当に、女性かと思った。

青年は、俺を見て捉えた。

漆黒の瞳の奥に眠るのは・・・

恐怖?それとも憎悪・・・?

「・・・君の事・・・知っているよ。」

「え・・・?」

何故、俺のことを知っている人間がこんなにも多いんだろう?

偶然か・・・?

「・・・この世には、偶然なんてものは存在しないよ・・・」

俺の心を読んだかのように、青年が静かに言った。

彼の目線が静かに俺から外される。

「・・・君は選ばれた、それも偶然ではなく必然的に・・・此処にいるのは、皆選ばれている人間なんだから・・・」

「選ばれて・・・?」

「・・・今は知らなくてもいい筈だよ。否、知ってはいけない時だ・・・」

青年はそう言って、視線を俺にゆっくりと向ける・・・・

「・・・僕はレイ・アミューダ・ランガルド。この世界に蔓延る邪神を狩る死神だ・・・」

その言葉を聞いた時、俺は胸の中で異常な恐怖と憎悪が上がってくるのを感じた・・・

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天使に近づきたかった少年

3.屋敷

目を覚ました時には、俺は家とは違うところにいた。

何処だろう・・・此処は?

辺りを見る、館の様だ。

広い静かな場所。

こんなところにいると、ふとおばさんの事を考えてしまう。

あの状態で生きている事なんてありえない。

それに、俺が出会った二人の男。

一人はどこかへ行ったが、もう一人は俺が倒れた時傍にいたはず・・・

じゃあもしかして、あの男が俺をここまで・・・?

「あっ目、覚めたみたいだな。」

思った直後にその男の声が聞こえて、俺は驚きベッドから落ちた。

「だ、大丈夫か?!」

それを見た男が慌てて俺に駆け寄る。

「いたた・・・あっ、大丈夫・・・です。」

少し痛みはあるけれど、これといった外傷もないのでにこっと笑って答えると男はほっとしたように胸をなでおろした。

「それよりも・・・此処はどこなんですか?お前は一体・・・?」

俺が目つきを変えていうと、男は「あぁ・・・」と少し迷って話を始める。

「俺は『ウォール・ディンス』。別に怪しい者じゃない・・・っていいたいところだが今の君からしたらかなり怪しいだろうな・・・」

俺は苦笑して頷いた。

失礼だとは思うが、それが事実だ。

「それで、此処はあの村から結構離れたミッドウェルっていう町の外れにある大きな館だ。

此処のことを俺達は『支部』として使っている・・・」

「支部・・・?何のための・・・?」

「・・・現世に生きる神々の生態の確認及び・・・。」

そこでウォールは言葉を躊躇った。

しかし、覚悟を決めたように頷くと大きく息を吸う。

「及び、その生命体を抹消することだ。」

その後の沈黙は彼の思っていたものを上回っていたようで彼は困ったように笑う。

「・・・こんな話、信じないよな?」

しかし、俺は首を振る。

「ううん・・・信じるよ。」

ウォールは驚いていたが仕方がない。

俺は本当の神を・・・・

この目でみてしまっているのだから。

彼は神以外では考えられない。

人の持つどんな恐怖よりも大きく、そのくせ気まぐれで、

時に脅威に値するであろう彼を除いて、誰を神と呼べるだろう?

「・・・セントは・・・『本当』の神なんじゃないの・・・?」

「・・・おそらく、な。だが・・・もしかすると・・・。」

ウォールが言いかけた時、違う部屋から声が聞こえた

「おーいウォール!何処にいる?!」

その声に彼は今行くよー!!と叫び返して

「ごめん、その話はまた今度な?」

そう言って部屋を出て行ってしまった。

と、数秒してまた戻ってきたかと思うと

「この屋敷から出なきゃ、ウロウロしてもいいからな?」

と俺に笑いかけまた行ってしまった。

こうなったら、俺がすることは一つしかない

俺は、部屋のドアを出て、この屋敷の探検をすることを

決意したのだった・・・

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天使に近づきたかった少年

3.屋敷

目を覚ました時には、俺は家とは違うところにいた。

何処だろう・・・此処は?

辺りを見る、館の様だ。

広い静かな場所。

こんなところにいると、ふとおばさんの事を考えてしまう。

あの状態で生きている事なんてありえない。

それに、俺が出会った二人の男。

一人はどこかへ行ったが、もう一人は俺が倒れた時傍にいたはず・・・

じゃあもしかして、あの男が俺をここまで・・・?

「あっ目、覚めたみたいだな。」

思った直後にその男の声が聞こえて、俺は驚きベッドから落ちた。

「だ、大丈夫か?!」

それを見た男が慌てて俺に駆け寄る。

「いたた・・・あっ、大丈夫・・・です。」

少し痛みはあるけれど、これといった外傷もないのでにこっと笑って答えると男はほっとしたように胸をなでおろした。

「それよりも・・・此処はどこなんですか?お前は一体・・・?」

俺が目つきを変えていうと、男は「あぁ・・・」と少し迷って話を始める。

「俺は『ウォール・ディンス』。別に怪しい者じゃない・・・っていいたいところだが今の君からしたらかなり怪しいだろうな・・・」

俺は苦笑して頷いた。

失礼だとは思うが、それが事実だ。

「それで、此処はあの村から結構離れたミッドウェルっていう町の外れにある大きな館だ。

此処のことを俺達は『支部』として使っている・・・」

「支部・・・?何のための・・・?」

「・・・現世に生きる神々の生態の確認及び・・・。」

そこでウォールは言葉を躊躇った。

しかし、覚悟を決めたように頷くと大きく息を吸う。

「及び、その生命体を抹消することだ。」

その後の沈黙は彼の思っていたものを上回っていたようで彼は困ったように笑う。

「・・・こんな話、信じないよな?」

しかし、俺は首を振る。

「ううん・・・信じるよ。」

ウォールは驚いていたが仕方がない。

俺は本当の神を・・・・

この目でみてしまっているのだから。

彼は神以外では考えられない。

人の持つどんな恐怖よりも大きく、そのくせ気まぐれで、

時に脅威に値するであろう彼を除いて、誰を神と呼べるだろう?

「・・・セントは・・・『本当』の神なんじゃないの・・・?」

「・・・おそらく、な。だが・・・もしかすると・・・。」

ウォールが言いかけた時、違う部屋から声が聞こえた

「おーいウォール!何処にいる?!」

その声に彼は今行くよー!!と叫び返して

「ごめん、その話はまた今度な?」

そう言って部屋を出て行ってしまった。

と、数秒してまた戻ってきたかと思うと

「この屋敷から出なきゃ、ウロウロしてもいいからな?」

と俺に笑いかけまた行ってしまった。

こうなったら、俺がすることは一つしかない

俺は、部屋のドアを出て、この屋敷の探検をすることを

決意したのだった・・・

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キャラ説明?

リニューアルしてからの初画像です。

↓がセント君です(オリジナル)

本当はもっとかっこいいと・・・思われます   何200805141908000

200805141953000_2 それで、→が彼の中に存在する人格の破壊神です。

今度色塗ります、色無しだと違いがわかりにくいので  汗

そして主人公より先に敵キャラ描くって・・・  笑

名 セント・マグニクス

年齢 22歳

身長 187cm

体重 79kg

武器 剣・銃etc・・・

一人称 「俺(セント)」

「僕(セナ)」

特徴 

普段は冷静沈着で、物事を深く重く考える事が多い。

しかし、セナ(破壊神)になると、敬語を使ったり

意味なく人を殺す事を好んだりと性格が一変する。

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天使に近づきたかった少年

3.新たな来客

「セナ・・・?」

初めて聞く名だ・・・

しかし、どこかで覚えがあるような気もする。

「アンタ、本当に何者・・・?」

「ですから、神ですよ。歴史上最強最悪の、ね。」

男・・・セナはそういってにっこりした。

「史上最悪って・・・どういう事だ?!」

「破壊しか出来ない神だからさ。しょうがないけどね。それが僕の役目なんだ。」

俺の質問に男は聞き飽きたように面倒そうに答える。

今まで何人の人々に、同じ問いをかけられてきたのだろう。

でも・・・破壊神とは一体・・・?

まず、神がこの世に存在すると言う事自体信じられない。

「・・・。」

セナはふと後ろに振り返る。

そして眉を顰めると、俺に向き直って言った。

「それではこの辺で。またお会いしましょう・・・否、必ず会う事になるでしょうが・・・。」

「は・・・?」

「・・・それが運命・・・というものです。それでは。」

彼はそういうと、深くお辞儀をした。

と同時に黒い風が巻き起こりそれが止む頃には男の姿はなくなっていた。

それからしばらく、俺はそこを眺めて呆然とする。

数分後、また新たな足音がこちらに近づいてきた。

「な、何だぁ?!」

今度は隠れようとしたが、それより先にその足音が玄関を踏んだ。

「・・・逃がした?・・・っこれは・・・」

そこに現れたのは茶髪で長身の男だ。

男はおばさんを見ると顔をしかめ、そむけた。

そして俺の存在を見て取った。

「・・・君、さっき此処に男がこなかった?黒いイアリングしてる。」

「え・・・あ・・・」

この人が言っているのは、セナのことだ。

瞬時にそうわかった。

でも、教える事に何故か俺は躊躇する。

「あの・・・。」

「くそっ・・・あいつ・・・こんな関係ない子まで巻き込んで・・・」

男は何か呟くと、もう一度俺に焦点を合わせた。

「お願いだ、知っている事があるなら教えてくれ。じゃないと、またあの人みたいに関係のない人が死んでしまう・・・これ以上被害者を・・・泣く人を俺は見たくない・・・!!」

男の声は本当に真剣で、瞳は微かに揺れていた。

「・・・じゃあ、やっぱり・・・あの人が、マグニクスがおばさんを・・・?」

殺したの?何故・・・・・・?

彼は関係のない人まで殺して、何をしようとしているの・・・?

何だろう、何故あんな男がこんなにも気にかかるのだろう?

男はその名を聞くと「やっぱり・・・」と、下を向く。

「・・・そうだ。全てはあの男、史上最悪の神を名乗る『セント・マグニクス』が仕向けた行為だ・・・」

・・・?

今、ちょっとおかしかったような・・・?

「ねぇ、お兄さん。」

「何だい?」

「さっき何て言ったの・・・?」

「セント・マグニクスの事か・・・?」

やはり・・・

名前が、違う。

あの男は、「セナ」と名乗った。

だが、今目の前にいる男は「セント」だという・・・

「『セント』・・・?でも、あの人は『セナ』って・・・」

「セナ?まさか、破壊神・・・なら、奴は本物なのか?」

「本物・・・??」

「・・・え?否・・・気にしないで。」

男は何か隠しているように言うと、苦笑する。

「ってか、あの男がお前に名乗った?って事はもしかして・・・」

独り言の多い人だな・・・と何となく俺は思う。

でも、悪い人じゃなさそうだけど・・・。

「お前ってもしかして、ルイ・グレイル?!」

がしっと肩を掴まれると、困るほど顔を近づけてとう。

「・・・そう・・だけど・・・。」

「うわっ・・・マジか。って事は、あぁ!もう訳わかんねー!!」

男はそういって頭を抱えた。

しかし、それはこっちのセリフだ。

この数時間で色々な事がありすぎた・・・

視界が、歪んだ。

「・・・・っ。」

「・・・?!どうしたんだ?!」

男の声が聞こえる中で、俺は深い深い闇の中へと、堕ちていった・・・

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天使に近づきたかった少年

2.神

俺は硬直して、何も言葉を発する事が出来なかった。

神を信じるか・・・?

そんな事、こんな所で聞くか?

「お、お前は・・・・」

「神を信じるなら、君は我等と供に来るべきだ・・・。」

男はそういうと、グローブをはめた左手を俺に差し出した。

・・・神なんて。

神なんているわけがない。

もしもいるなら・・・

どうしてこんなに・・・辛い事ばかり。

俺は神に嫌われいてるとでも・・・・?

「・・・君が思う神は、どうやら『あちら』の神らしい・・・」

男が薄らと唇を動かした。

俺は何も言っていないのに・・・

まさか,読まれている・・・?

「・・・神とは、時に優しく、時に残酷で、恐怖の根源でもある・・・」

男はそういうと、俺のすぐ後ろにある窓を見据えた。

その瞳に、表情にとてつもなくわかりにくい

しかし純粋な、男の本当の悲しみが映っている・・・

そんな気がした。

「・・・神がいつしも、人を愛する存在だとは思うな。彼らは簡単に『君達』人間を裏切る。」

「・・・」

もし、彼がいうように、神が存在するのなら・・・

「・・・俺は、そんな神、いらない・・・」

勝手に言葉がついて出た。だが、思っていた事が。

「・・・要らない、か・・・。」

男は何故か、同意するように小さく頷いた。

「今更、そんな事を言ったところでもう遅い・・・。神は既に現れた・・・否、誕生してしまったのだから。」

男がどこか失望したように言って下を向く。

と、男にある異変が起こった。

彼は苦しそうに胸を押さえると、その場にしゃがみ込む。

「な、何・・・・?!」

「・・・っ。」

男は小さく呻くと、一瞬動きを止めた。

「・・・?」

俺はそっと、男の顔を覗く。

そこはありえないほど暗く計り知れない闇が広がっていた。

男の顔はその闇に隠れて見えない。

「・・・おはようございます、いい夜ですね・・・」

困って立ち上がろうとした俺の背後で声がした。

振り返ると、男が立っている。

「あっ、大丈夫だったんですね・・・・・・。」

「・・・こんな夜を、待っていた・・・。月すら身を隠す、闇が世界を埋めつく夜を。」

男が言う。目は前髪に隠れて見えない。

口元だけが少し見える。

それは緩んで、つりあがっていた。

だが、笑っていない。

これは、笑っているのとは違う・・・

もっと凶悪で、恐ろしく強大な。

・・・そう、恐怖。

今の彼から感じるのは、恐怖だけだ。

「・・・何を言って・・・」

「・・・こんな日にか、僕の出番はない・・・。

でも、今日、今の時間は僕のものだ。彼のように生易しい「ニンゲン」に渡しはしないさ・・・。」

男は一人で、話していたがやがて俺の存在に気付いて、俺に向き直る。

「君は・・・?」

「・・・そんな事より、俺は貴方のほうが気になりますよ。さっきとは、まるで別人・・・」

そう、さっきとは絶対に別人なのだ。

まるで、体に誰か違うものがのり移ったかのように。

「・・・それは当然。僕は彼とは違う・・・。そうだ、自己紹介をしようか。」

男は元々上がっている口を更に吊り上げてにっこりする。

「はじめまして。僕は神。破壊神・セナ・マグニクス。」

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天使に近づきたかった少年

・・・貴方は神を信じますか?

例えばこの世を支え、滅ぼす力を持つ者がいるとするなら、

それは神と呼べるでしょうか・・・? 

時は今から幾分か昔。

まだ世界に、神存在説が囁かれて間もない時代

一人のある少年は

運命の環に巻き込まれ流されていく・・・・

『天使に近づきたかった少年』

1.惨劇

・・・俺の名前は、ルイ・グレイル。

今年で満14歳を迎える・・・はずだ。

確かな事はわからない。

俺は生まれてすぐに親に捨てられた孤児で、

本当の年齢は定かではないのだ。

今、俺がこうして生きていられるのは、

クレラさんというおばさんが、

俺を孤児院から引き取ってくれたからだ。

あれから14年弱・・・・。

俺はすっかり、おばさんの事を親同然に慕うようになっていた。

あの日・・・

あんな悲惨な事件さえ起きなければ、

それは今も変わっていなかっただろう

その夜、俺は自室で裁縫をしていた。

手先は器用な方ではないけれど

どうしても明日までに作っておきたかったものがあったのだ。

クマのぬいぐるみだ。

明日はおばさんの誕生日で、

これはその誕生日プレゼント。

今まで一度も誕生日にものをあげたことなんて

なかったので、少し緊張しているが

デキはいうほど悪くない。

「よし、完成!」

そして今、クマの瞳を縫い付け、それは完成した。

一人それを見て、喜んでいると

こんな夜にチャイムが鳴った。

何だろうと思い、俺はぬいぐるみを

鞄につめて自室をそっと出る。

「はーい、どなた?」

おばさんが玄関に走っていく音が聞こえた。

こんな時間まで起きてるなんて

おばさんはやっぱりすごい。

俺の部屋は二階にあり、階段の隙間から何となく

下が見えるようになっているので

俺はそこからそっと下を覗いた。

・・・?

誰もいない、おばさんの姿もない。

何だろうと下に下りようとした時、キャー!!というおばさんの

叫び声が聞こえギョッとする。

「な、何だ・・・・?!」

俺は急いで部屋に戻ると、この間買ってもらった

エアーガンを取り出した。

そして、それを構えてゆっくりと階段を下りる。

最後の2、3段は飛び降りて俺は銃を構えた。

・・・?!

血、血、血・・・

おびただしい血が、床一面に広がっていた・・・

俺はふと前方を見る。

誰かが倒れている・・・?

・・・おば・・・さん・・・・?!

「・・・ほぅ、この少年か。」

その時、背後で声がした。

驚いて振り返ると、謎の男が立っていた。

黄土色の髪・・・耳には黒いイアリング。

それに・・・手に持っている剣。

血のついた・・・剣。

「お前が・・・・おばさんを・・・?」

殺したのか・・・?

そこまで言う暇はなかった。俺は本能のままに男に銃を乱射する。

しかし、ただの一つも彼には当たらなかった。

「・・・随分物騒だな。」

乱射が止まると男は呟き、ゆっくりとこちらにくる。

「・・・く、来るな・・・」

震える手で銃を握る。

「・・・君は。」

男が口を開いた。だが、先ほどとはまるで別人。その声からは、慈悲や愛しさ感じられた。

「君は神を信じるか・・・?」

1章 END

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